ゲーミングPCの選び方

初心者向けゲーミングPCの選び方

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グラフィックボード(GPU)の性能と選び方③ ~冷却性能について~

前回のおさらい

前回はYoutubeを利用し、GPUの性能を調べてみました。まだご覧になっていない方はこちらから

polarishat.hatenablog.jp

フルHDの解像度で60fpsが目標ならば、「GTX1650super」もしくは「GTX1660super」を選ぶのが最適であるという結論でした。

そこで今回は、GTX1660superを購入するという前提で、各メーカーやモデルによる製品の違いなどを解説していきます。

 

GPUのチップメーカーと販売メーカーの違い

過去の記事でも紹介しましたが、GPUのチップメーカーはNVIDIAAMDの2社です。この2社はあくまでもチップメーカーであり、チップのみを製造しています。

※リファレンスモデルというチップメーカー独自のGPUもありますが、流通量が少なく、一般的な消費者が手にすることはほとんどありません。

この写真の赤丸の部分がGPUチップです。

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販売メーカーはこのチップをNVIDIAAMDから仕入れ、メモリや冷却ファンなどを追加し、完成品の「グラフィックボード」として販売しています。

 

<主なメーカー一覧>

MSI

台湾のPCパーツメーカーであり、マザーボードも有名。

ディスプレイ、ノートパソコン、デスクトップパソコン等幅広く販売している会社。

 

ASUS

MSIと同じく台湾のPCパーツメーカーで、マザーボードも有名。

ディスプレイ、ノートパソコン、デスクトップパソコンに加え、スマートフォンも販売している。日本では一番有名かも。

 

GIGABYTE

こちらも台湾のPCパーツメーカーで、マザーボードも有名。

ノートパソコン、デスクトップパソコンをはじめ、最近はSSDなども販売している。

 

ZOTAC

香港のPCパーツメーカー。グラフィックボードが有名で、小型のパソコンなども販売している。

 

玄人志向

日本のPCパーツブランド。無線ルーターや外付けハードディスクで有名な「バッファロー」とは同じグループで、様々な自作ユーザー向けの製品を取り扱っている。

GALAKURO GAMING モデルという上位モデルは、GALAX(Paritの別ブランド名)のOEM品。つまり、GALAXの販売しているGPUと同一モデル。

 

Parit

台湾のPCパーツメーカー。日本では「ドスパラ」というPCショップのみで販売している。グラフィックボードの他にSSDなども販売している。

 

ELSA

元はドイツ(2002年倒産)、今は台湾のPCパーツメーカー。

日本ではエルザジャパンとして独立している。

 

Colorful

中国のPCパーツメーカー。マザーボードから電源まで様々な自作PCパーツを手がけていて、数年前に日本市場に参入したが、日本ではかなりマイナーな印象。

 

<価格一覧>

kakaku.com

製品の比較

ここまでで、同じGPUチップでも様々なモデルがあることがわかって頂けたと思います。

私が初めてGPUの存在を知った頃、どのメーカーのどの商品がいいのか調べようとしたのですが、ネットで詳しい情報を見つけるのはかなり大変だった記憶があります。特に日本語の情報がほとんどない!確かに大手PC系サイトにはレビュー記事があるのですが、そのような記事は大抵、限られた情報のみです。

例えば、GTX1660superの発売時には日本でも発売と同時にレビュー記事が出ました。

しかし、先ほど紹介したように”GTX1660super”というGPUが様々なメーカーから販売されているのに、レビュー記事ではその各社の違いなどは一切触れられていません。

大手サイトのレビューはリファレンスモデルというNVIDIAAMDが独自に製造したGPUをレビューすることが多く、参考に出来るのはGTX1660superというGPUはどれくらいの処理能力があって、ゲームではどのくらいfpsが出るかということになります。

こう言うと「その情報があれば十分では?」という声が聞こえてきそうですが、確かに同じチップを使っている以上、どのメーカーのGPUであれ基本的な性能は変わりません。一応、各メーカからは”OC(オーバークロック)モデル”として販売されていますが、その差は微々たるものです。ちなみにオーバークロックモデルとは、簡単に説明すると、電力負荷を上げて処理能力を向上させている製品だと思って下さい。

ですので、大手サイトのレビュー記事はとても有用で、情報としての価値は高いものです。

しかし、我々消費者が実際に購入しようと思ったら、沢山あるメーカーのどの製品を選ぶべきかという情報は、自分で改めて調べなければなりません。

実際問題、大手サイトが全てのメーカのレビューを出すというのは、大人の事情やコストもかかるという理由もあって、ほぼ不可能なのでしょう(笑)

この、”各メーカーの製品の違い”の情報は日本語ではほとんどないのが現状です。単体のレビューや購入者のレビューはあっても、”比較”しているレビューは少ないのです。

そこで、当ブログでは比較できる海外のサイトの紹介も含め、具体的な製品の違いを皆さんと共有したいと思います。

 

<各メーカの違い>

調べてみるとわかりますが、同じ1660superのチップを使っているのに、各メーカーの価格には、かなり違いがあります。性能差(fps)はほぼ等しいにも関わらずです。

この価格差の一つの要因として「冷却性能」と「静音性」があります。各メーカーが独自に開発している部分で、ここにどれだけ力を入れているかで価格が変わってきます。

同じメーカでもモデル名が2つ以上存在するものがありますが、価格が高いモデルのほうが「冷却性能」と「静音性」が高いと思って頂いて問題ありません。

例えばMSIのGTX1660superのモデルは大きく分けて3種類あります

 

GTX 1660 SUPER GAMING X(日本未発売)

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GTX 1660 SUPER VENTUS XS

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GTX 1660 SUPER AERO ITX

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これらは価格が高い順に並んでいるのですが、一番上の”GAMING X”というモデルは、他のメーカも含めた様々なGPUの中でも、「冷却性能」と「静音性」が高いモデルとして有名です。1660superのこのモデルは日本で販売されていないのが残念です。。。

 

かといって、低価格モデルは冷却性能が低すぎるという訳ではなく、最低限の冷却性能は確保されています。ただ、その冷却性能を得るためにファンの回転数を高く設定し、静音性を犠牲にしている場合がほとんどです。

この「冷却性能」と「静音性」のバランスが各メーカー、各製品で様々なものが存在するということになります。

では安いものはどれも爆音なのかというとそうではなく、同じメーカーでもモデルによってばらつきがあります。そこで、実際に「冷却性能」と「静音性」がレビューされた記事を参考にしていきます。

私が参考にしているサイトはこちら

www.techpowerup.comこのtechpowerup.comは、様々なレビューを詳細に出しているサイトで、参考にしている人も多いかもしれません。

 

Temperature & Noise Comparison(温度と騒音の比較)

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これは、先程紹介したMSI GTX1660super Gaming Xのレビュー記事で、ゲーム中の温度が66℃、騒音が30デシベルと非常に静音性の高い優秀なGPUであることがわかります。

デシベルとは音の大きさを表す単位です。

ちなみに、アイドル時に温度が他と比較して高くなっていますが、この製品は温度が60℃以下の場合、ファンがストップする機能が備わっているためです。一部の高級モデルにはこのような機能があって、ネットサーフィンなど負荷がかからない状況ではファンが回転しないため、静音性が高まるといった利点があります。

 

<チップを冷却するヒートシンク>

ヒートシンクとは、発生する熱を速やかに外部に放出する部品のことで、伝熱特性の良い、アルミニウムや銅などの金属が材料として用いられることが多いです。パソコンではCPUやSSDにも使われています。

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<簡単な仕組み>

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ヒートパイプの役割・しくみ | 自作パソコンの作り方解説


発熱が大きいほど、ヒートシンクのサイズも大きくしなければ冷却が追いつかず、性能の低下や故障に繋がるなど、パソコンを含めた電子機器にとって排熱というのはとても大事な要素です。最近発表されたPS5もどうやらサイズが大きくなりそうですが、それはCPUやGPUに発熱の高い高性能なものを使っているためで、部品を熱から守るためには仕方のないことです。
これらの知識を踏まえて、高価なGPUヒートシンクと低価格なGPUヒートシンクを比較してみましょう。実際にGPUをバラした画像を見て、なぜここまで温度や騒音に差が出るのか解説します。価格はアメリカでの販売価格です。

 

ASUS GeForce GTX 1660Super Phoenix($229.99) 

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MSI GTX1660Super Gaming X($269.99)

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左が冷却ファンで、右がヒートシンクになります。

一目瞭然だと思いますが、ASUSの小さいヒートシンクに比べ、MSIはヒートパイプで熱をしっかり分散し、大きなヒートシンクで放熱する仕組みとなっています。

 

この冷却機構の違いが、温度の違いを生みます。

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ASUSが86℃でMSIが66℃です。

温度が高い→冷やさなければならない→ファンを高回転させる→音が大きくなる

という悪循環が生まれ、温度が高く音もうるさいということになってしまいます。

温度が低ければファンを低回転で回しても冷却が追いつくので静かになります。

価格差が40ドルですが、何年も使うGPUということを考えれば、私なら40ドル追加してでも温度が低くて静かなものを選びます。温度が高いということは、製品の寿命にも悪影響を及ぼすということを考えるとなおさらです。

 

ここでは、わかりやすい例としてASUSGPUを挙げましたが、勘違いしてほしくないのは、ASUSというメーカーは全部悪いということではなく、一部の廉価版のモデルにはこういうものがあると知っておいてほしかったのです。ASUSにもRog-strixという上位モデルがあり、MSIのGmaing Xと同じように静音性と冷却性能に優れた製品です。

 

今回はここまでにして、次回は日本で発売されているGPUで価格と冷却性能に優れている商品はどれになるのかということを検証していきます。