ケースの選び方
選び方シリーズの最後はPCケースの選び方です。これは個人の好みによるところが大きく、おすすめの商品がその人によっていいかどうかは判断が難しところです。
ただ、ゼロから選ぶのと、ある程度の知識があって選ぶのではだいぶ変わってくるので、ここでは一般的な知識と私個人的なおすすめのケースを紹介していきます。
PCケースのサイズ
PCケースには大きく分けて3種類の大きさがあります。大きい順に
ATX、Micro-ATX、Mini-ITXとなっています。
これはマザーボードのサイズに準じているので、自分が買うマザーと合わせて検討することになります。
また、PCケースは基本的に「大は小を兼ねる」構造になっているので、ATXのケースを買えばMicro-ATX、Mini-ITXのマザボも搭載可能ということになります。
エアフロー
エアフローとはケース内の空気の流れのことで、PC全体の温度にも影響します。
前面パネルがメッシュになっている構造のケースは通気性がよく、エアフローに優れていますが、静音性は低くなり、内部の音が漏れやすくなります。
一方、静音性が高いケースは、パネルの内側に音を吸収する吸音材が張り付けられている場合もあり、内部の音が漏れにくい構造になっています。
しかし、吸気口はメッシュケースに比べて小くなり、PC全体の温度も少し高くなる傾向にあります。
このエアフローと静穏性の関係はCPUとGPUの構成によって最善のものが変わってくるため、こだわろうと思うとなかなか難しいです。
例えば、ミドルレンジクラス(Ryzen5-3600とRTX2060くらい)であれば、発熱もそれほど高くはないので、静穏ケースでも十分冷やしきれるでしょう。
しかし、ハイエンド(Ryzen7-3700XとRTX2080など)になると、温度管理に気を使う必要があり、ケースによっては冷やしきれずに性能がフルに発揮されないなどの可能性が出てきます。Mini-ITXのような小型ケースを選ぶ際は特に温度が上がりすぎていないかチェックする必要があります。
5インチベイの有無
5インチベイは主にブルーレイやDVDドライブを設置するための場所ですが、最近のケースは5インチベイがないものが多いです。必要な場合はケースが限られてきますので、確認が必要です。
HDDの台数
最近のケースは昔のケースに比べてHDDの搭載できる数が少なくなっています。
3台以上HDDを使うという人は、ケースの仕様をしっかり確認しましょう。
※HDDは3.5インチベイ、SSDは2.5インチベイという表記になります。
前面パネルのUSB端子の位置
USB端子や電源ボタンなどの前面インターフェイスは、ケースによって場所が様々です。ケースを床に置く場合はケースの上面にUSB端子があったほうが使いやすいですし、卓上に置く場合はケース正面か横にUSB端子があるものを選ぶといいでしょう。
メンテナンス
ケースによっては、フロントパネルや底の電源ファンの吸気口に防塵フィルターが付いているものがあります。
PCを長く使う上で、埃が溜まるというのは避けられませんが、防塵フィルターがあればケース内に埃が入りにくくなり、メンテナンスが楽になります。埃が溜まるとエアフローが悪くなり、温度上昇や部品の故障に繋がりますので、防塵フィルターがあるケースがおすすめです。
グラボ
最近のグラフィックボードはどんどん大きくなっており、特にハイエンドのグラボの大きさは尋常ではありません。ケースによっては干渉して入らないということも考えられます。Mini-ITXケースの場合はそもそもグラボは載せられないという製品もあります。
ケースを購入する際はどの大きさのグラボが搭載できるか、製品HPの仕様を確認するようにしましょう。
CPUファン
CPUファンもサイズによってはケースに干渉する恐れがあります。ケースの仕様には「CPUファンの高さ」という項目が必ずあるので、リテール品(CPUを購入した際に付属しているもの)ではなく、自分で購入する場合は確認が必要です。特に簡易水冷のラジエーターはメーカーによってサイズが変わってくるので注意しましょう。
ファンの数
エアフローは基本的に、吸気口から空気を取り入れ、排気口から熱を逃がすという流れになりますが、ケースによっては排気口のみにしかファンが付いていない場合があります。低発熱のロースペックPCであれば問題ありませんが、ハイスペック構成だと排熱が追い付かない可能性があります。
ケースを選ぶときはファンの数に注意し、最低でも吸気口と排気口にファンが一つずつ付いているものを選びましょう。
おすすめケース
静穏重視
Fractal Designは静穏性の高いケースで有名で、その中でも数年前に発売された「Define R5」は大ヒットした製品で、これを選んでおけば問題ないという鉄板の製品でもあります。
エアフロー重視
同じくFractal Designのケースになりますが「Meshify C」は全面がメッシュ構造になっており、エアフロータイプのケースになります。
私が使っているケース
実際に私が使っているケースは、Fractal Designの「Define C-TG」というサイドパネルがガラス製で中が見えるケースを使っています。
このケースは「Define R5」と同じく静穏重視のケースで、内部に吸音材が張られていて、非常に静かなケースです。
参考サイト
翻訳前提ですが、このサイトはケースごとのCPU温度やGPU温度、騒音値まで計測していて、ケースの性能にこだわる人はこのサイトを参考に選ぶのもいいと思います。
Mini-ITXの注意点
Mini-ITXケースを考えている方でGPUを搭載するのであれば、エアフローがしっかり確保されるかどうかを事前にシュミレートしておきましょう。
例えばMini-ITXのケースで「H210i CA-H210i」というケースがあります。
オシャレケースでおなじみのNZXTのケースですが、GPUを搭載した画像がこちらです。
何も問題ないように見えますが、このケースに搭載されているGPUは確実に温度が高くなります。それは画像を見ればわかるように、GPUの下側が非常に狭くなっていることが原因です。
GPUのファンはこの画像で下側についているので、隙間がこれしかないと吸気が追い付かない可能性があります。特にハイエンドでは熱暴走の原因にもなり得るので、Mini-ITXのケースを買う際はGPUの吸気がどうなっているかも確認しましょう。